債権調査とは、裁判所に届け出られた債権について、破産債権としての適格性、債権の存否・額、優先劣後の順位及び別除権者の届け出た予定不足額の当否について調査することをいう。
調査・確定の手続としては、
の組合せがあり、条文上は、①の方式で行うことが原則である。債権届出期間満了後の届出に係る特別調査は、①②のいずれの方式もあり得る(同条3項)。
いずれの方式によるかは、裁判所が破産手続開始時に同時処分(破31条1項3号)として事案に応じて定める。
破産管財人が認め、破産債権者からの異議がなければ(破117条、118条1項、121条1項、2項)、破産債権は届出債権者と全ての破産債権者との間で届出のとおりにその存在・額及び優先権の有無などが確定し(破124条1項)、裁判所書記官が破産債権者表に調査結果を記載すると確定判決と同一の効力を認められる(同条2項、3項)。
債権調査期間とは、破産管財人及び破産債権者などの利害関係人が届出債権に対する認否書の提出や書面による異議などの行為をすべき期間をいう。
債権調査期間では、届出のあった破産債権につき、破産管財人が認否を記載した認否書をあらかじめ作成して裁判所に提出し、届出をした破産債権者は裁判所に対して書面で異議を述べる方式(書面による債権調査の方式)によって債権調査が行われる(破116条1項)。
債権調査期間には、一般調査期間(破117条)と特別調査期間(破119条)がある。
破産管財人は、債権届出期間内に届出があった破産債権について、その額、優先・劣後の有無及び別除権の予定不足額に対する認否を記載した認否書を作成して(破117条1項)、一般調査期間前の裁判所が定める期限までに裁判所に提出しなければならない(同条3項)。債権届出期間経過後に届け出られたもの又は破産債権者の利益を害すべき届出事項の変更があったものに対する認否も記載することができる(同条2項)。
届出をした破産債権者は、一般調査期間内に裁判所に対して破産管財人による認否の対象となる破産債権の届出事項(破117条1項各号)について書面で異議を述べることができる(破118条1項)。
債権届出期間の経過後、一般調査期間の満了前又は一般調査期日の終了前に届出があり、又は届出事項の変更があった破産債権は、当然に調査の対象となるので、裁判所はこの債権につき特別調査期間を定めなければならない(破119条1項本文)。ただし、既に破産管財人が提出した認否書で認否の対象となっている場合又は一般調査期日において調査をすることについて破産管財人及び破産債権者の異議がない場合は、特別調査期間を定める必要はない(同項但書)。
債権調査期日とは、破産管財人及び破産債権者などの利害関係人が届出債権に対する認否や異議などの行為をすべき期日をいう。
債権調査期日には、一般調査期日(破121条)と特別調査期日(破122条)がある。
一般調査期日は、原則として債権届出期間内に届け出た者の破産債権を調査する期日で、債権届出期間の末日から1週間以上2か月以内の日に定められ(破規20条1項4号)、破産手続開始の決定と同時に指定・公告され、かつ、知れたる債権者にはその旨が通知される(破31条1項3号、32条1項3号、3項1号)。
一般調査期日が定められたときは(破31条1項3号、116条2項)、破産管財人は、当該期日に出頭し、債権届出期間内に届出があった破産債権についてその額、優先・劣後の有無、別除権の予定不足額に係る認否をしなければならない(破121条1項、117条1項)。
債権届出期間経過後に届け出られたもの、又は他の破産債権者の利益を害すべき届出事項の変更があったものも、一般調査期日において調査することにつき破産管財人及び破産債権者の異議がない場合はその認否をすることができる(破121条7項)。
債権届出期間の経過後、一般調査期間の満了前又は一般調査期日の終了前に届出があり、又は届出事項の変更があった破産債権について裁判所は、必要があると認めるときは、特別調査期日を定めることができる(破122条1項本文)。ただし、既に破産管財人が提出した認否書で認否の対象となっている場合及び一般調査期日に調査をすることについて破産管財人及び破産債権者の異議がない場合は、特別調査期日を定める必要はない(同項但書)。
一般調査期間の経過後又は一般調査期日の終了後に届出があり、又は他の破産債権者の利益を害すべき届出事項の変更があった破産債権については、破産債権者の責めに帰することのできない事由によって届出をすることができず、かつ、その事由が消滅した後1か月以内に届出がされた場合に限り、裁判所は、必要があると認めるときは、特別調査期日を定めることができる(破122条2項、119条2項、112条1項、4項)。
(破産債権の調査の方法)
第百十六条 裁判所による破産債権の調査は、次款の規定により、破産管財人が作成した認否書並びに破産債権者及び破産者の書面による異議に基づいてする。
2 前項の規定にかかわらず、裁判所は、必要があると認めるときは、第三款の規定により、破産債権の調査を、そのための期日における破産管財人の認否並びに破産債権者及び破産者の異議に基づいてすることができる。
3 裁判所は、第百二十一条の規定による一般調査期日における破産債権の調査の後であっても、第百十九条の規定による特別調査期間における書面による破産債権の調査をすることができ、必要があると認めるときは、第百十八条の規定による一般調査期間における書面による破産債権の調査の後であっても、第百二十二条の規定による特別調査期日における破産債権の調査をすることができる。(認否書の作成及び提出)
第百十七条 破産管財人は、一般調査期間が定められたときは、債権届出期間内に届出があった破産債権について、次に掲げる事項についての認否を記載した認否書を作成しなければならない。
一 破産債権の額
二 優先的破産債権であること。
三 劣後的破産債権又は約定劣後破産債権であること。
四 別除権(第百八条第二項に規定する特別の先取特権、質権若しくは抵当権又は破産債権を含む。)の行使によって弁済を受けることができないと見込まれる債権の額
2 破産管財人は、債権届出期間の経過後に届出があり、又は届出事項の変更(他の破産債権者の利益を害すべき事項の変更に限る。以下この節において同じ。)があった破産債権についても、前項各号に掲げる事項(当該届出事項の変更があった場合にあっては、変更後の同項各号に掲げる事項。以下この節において同じ。)についての認否を同項の認否書に記載することができる。
3 破産管財人は、一般調査期間前の裁判所の定める期限までに、前二項の規定により作成した認否書を裁判所に提出しなければならない。
4 第一項の規定により同項の認否書に認否を記載すべき事項であって前項の規定により提出された認否書に認否の記載がないものがあるときは、破産管財人において当該事項を認めたものとみなす。
5 第二項の規定により第一項各号に掲げる事項についての認否を認否書に記載することができる破産債権について、第三項の規定により提出された認否書に当該事項の一部についての認否の記載があるときは、破産管財人において当該事項のうち当該認否書に認否の記載のないものを認めたものとみなす。(一般調査期間における調査)
第百十八条 届出をした破産債権者は、一般調査期間内に、裁判所に対し、前条第一項又は第二項に規定する破産債権についての同条第一項各号に掲げる事項について、書面で、異議を述べることができる。
2 破産者は、一般調査期間内に、裁判所に対し、前項の破産債権の額について、書面で、異議を述べることができる。 3 裁判所は、一般調査期間を変更する決定をしたときは、その裁判書を破産管財人、破産者及び届出をした破産債権者(債権届出期間の経過前にあっては、知れている破産債権者)に送達しなければならない。
4 前項の規定による送達は、書類を通常の取扱いによる郵便に付し、又は民間事業者による信書の送達に関する法律第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者の提供する同条第二項に規定する信書便の役務を利用して送付する方法によりすることができる。
5 前項の規定による送達をした場合においては、その郵便物等が通常到達すべきであった時に、送達があったものとみなす。(特別調査期間における調査)
第百十九条 裁判所は、債権届出期間の経過後、一般調査期間の満了前又は一般調査期日の終了前にその届出があり、又は届出事項の変更があった破産債権について、その調査をするための期間(以下「特別調査期間」という。)を定めなければならない。ただし、当該破産債権について、破産管財人が第百十七条第三項の規定により提出された認否書に同条第一項各号に掲げる事項の全部若しくは一部についての認否を記載している場合又は一般調査期日において調査をすることについて破産管財人及び破産債権者の異議がない場合は、この限りでない。
2 一般調査期間の経過後又は一般調査期日の終了後に第百十二条第一項若しくは第三項の規定による届出があり、又は同条第四項において準用する同条第一項の規定による届出事項の変更があった破産債権についても、前項本文と同様とする。
3 第一項本文又は前項の場合には、特別調査期間に関する費用は、当該破産債権を有する者の負担とする。
4 破産管財人は、特別調査期間に係る破産債権については、第百十七条第一項各号に掲げる事項についての認否を記載した認否書を作成し、特別調査期間前の裁判所の定める期限までに、これを裁判所に提出しなければならない。この場合においては、同条第四項の規定を準用する。
5 届出をした破産債権者は前項の破産債権についての第百十七条第一項各号に掲げる事項について、破産者は当該破産債権の額について、特別調査期間内に、裁判所に対し、書面で、異議を述べることができる。
6 前条第三項から第五項までの規定は、特別調査期間を定める決定又はこれを変更する決定があった場合における裁判書の送達について準用する。(特別調査期間に関する費用の予納)
第百二十条 前条第一項本文又は第二項の場合には、裁判所書記官は、相当の期間を定め、同条第三項の破産債権を有する者に対し、同項の費用の予納を命じなければならない。
2 前項の規定による処分は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。
3 第一項の規定による処分に対しては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内に、異議の申立てをすることができる。
4 前項の異議の申立ては、執行停止の効力を有する。
5 第一項の場合において、同項の破産債権を有する者が同項の費用の予納をしないときは、裁判所は、決定で、その者がした破産債権の届出又は届出事項の変更に係る届出を却下しなければならない。
6 前項の規定による却下の決定に対しては、即時抗告をすることができる。(一般調査期日における調査)
第百二十一条 破産管財人は、一般調査期日が定められたときは、当該一般調査期日に出頭し、債権届出期間内に届出があった破産債権について、第百十七条第一項各号に掲げる事項についての認否をしなければならない。
2 届出をした破産債権者又はその代理人は、一般調査期日に出頭し、前項の破産債権についての同項に規定する事項について、異議を述べることができる。
3 破産者は、一般調査期日に出頭しなければならない。ただし、正当な事由があるときは、代理人を出頭させることができる。
4 前項本文の規定により出頭した破産者は、第一項の破産債権の額について、異議を述べることができる。
5 第三項本文の規定により出頭した破産者は、必要な事項に関し意見を述べなければならない。
6 前二項の規定は、第三項ただし書の代理人について準用する。
7 前各項の規定は、債権届出期間の経過後に届出があり、又は届出事項の変更があった破産債権について一般調査期日において調査をすることにつき破産管財人及び破産債権者の異議がない場合について準用する。
8 一般調査期日における破産債権の調査は、破産管財人が出頭しなければ、することができない。
9 裁判所は、一般調査期日を変更する決定をしたときは、その裁判書を破産管財人、破産者及び届出をした破産債権者(債権届出期間の経過前にあっては、知れている破産債権者)に送達しなければならない。
10 裁判所は、一般調査期日における破産債権の調査の延期又は続行の決定をしたときは、当該一般調査期日において言渡しをした場合を除き、その裁判書を破産管財人、破産者及び届出をした破産債権者に送達しなければならない。
11 第百十八条第四項及び第五項の規定は、前二項の規定による送達について準用する。(特別調査期日における調査)
第百二十二条 裁判所は、債権届出期間の経過後、一般調査期間の満了前又は一般調査期日の終了前に届出があり、又は届出事項の変更があった破産債権について、必要があると認めるときは、その調査をするための期日(以下「特別調査期日」という。)を定めることができる。ただし、当該破産債権について、破産管財人が第百十七条第三項の規定により提出された認否書に同条第一項各号に掲げる事項の全部若しくは一部についての認否を記載している場合又は一般調査期日において調査をすることについて破産管財人及び破産債権者の異議がない場合は、この限りでない。
2 第百十九条第二項及び第三項、同条第六項において準用する第百十八条第三項から第五項まで、第百二十条並びに前条(第七項及び第九項を除く。)の規定は、前項本文の場合における特別調査期日について準用する。(期日終了後の破産者の異議)
破産法
第百二十三条 破産者がその責めに帰することができない事由によって一般調査期日又は特別調査期日に出頭することができなかったときは、破産者は、その事由が消滅した後一週間以内に限り、裁判所に対し、当該一般調査期日又は特別調査期日における調査に係る破産債権の額について、書面で、異議を述べることができる。
2 前項に規定する一週間の期間は、伸長し、又は短縮することができない。
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