破産債権とは、破産者に対し破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権であって、財団債権に該当しないものである(破2条5項)。(債務者が破産したときにその債権を届け出て破産財団から公平な共同弁済を受けることのできる債権)
破産者に対する人的請求権であることを要する。
破産債権は、その額及び順位に応じて平等に弁済を受ける(破194条2項)。
破産債権の存否・額・順位は、債権届出(111条1項)、債権調査を経破産管財人及び他の届出破産債権者からの異議がなければ届出のとおり確定し(破124条1項)、異議があれば破産債権査定の申立て(破125条)、破産債権査定異議の訴え(破126条)等により確定する。
優先的破産債権とは、破産財団に属する財産について一般の先取特権その他一般の優先権を持つ破産債権をいう(破98条1項)。
民法その他の法律に基づく一般の先取特権及び企業担保権(企業担保法2条1項、7条1項)、租税債権の一部などである。
優先的破産債権相互間の順位は実体法の基準によって定まり(破98条2項)、主なものは次のとおりである。
優先的破産債権者は、破産債権の額及び原因(破111条1項1号)、優先的破産債権である旨(同項2号)の届出を要する。
優先的破産債権は、一般の破産債権に優先して配当を受けることができる(破98条1項)。
劣後的破産債権とは、破産債権であるが、他の破産債権に後れ、一般破産債権が配当を受けた後に限り、配当を受けることができる債権である(破99条1項柱書)。
劣後的破産債権者は、破産債権の額及び原因(破111条1項1号)、劣後的破産債権である旨(同項3号)の届出を要する。
劣後的破産債権は、一般破産債権に劣後して配当を受ける(破99条1項柱書)。
(定義)
第二条 この法律において「破産手続」とは、次章以下(第十二章を除く。)に定めるところにより、債務者の財産又は相続財産若しくは信託財産を清算する手続をいう。
5 この法律において「破産債権」とは、破産者に対し破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権(第九十七条各号に掲げる債権を含む。)であって、財団債権に該当しないものをいう。
6 この法律において「破産債権者」とは、破産債権を有する債権者をいう。
7 この法律において「財団債権」とは、破産手続によらないで破産財団から随時弁済を受けることができる債権をいう。
8 この法律において「財団債権者」とは、財団債権を有する債権者をいう。
9 この法律において「別除権」とは、破産手続開始の時において破産財団に属する財産につき特別の先取特権、質権又は抵当権を有する者がこれらの権利の目的である財産について第六十五条第一項の規定により行使することができる権利をいう。
10 この法律において「別除権者」とは、別除権を有する者をいう。(破産債権に含まれる請求権)
第九十七条 次に掲げる債権(財団債権であるものを除く。)は、破産債権に含まれるものとする。
一 破産手続開始後の利息の請求権
二 破産手続開始後の不履行による損害賠償又は違約金の請求権
三 破産手続開始後の延滞税、利子税若しくは延滞金の請求権又はこれらに類する共助対象外国租税の請求権
四 国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)又は国税徴収の例によって徴収することのできる請求権(以下「租税等の請求権」という。)であって、破産財団に関して破産手続開始後の原因に基づいて生ずるもの
五 加算税(国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第二条第四号に規定する過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税及び重加算税をいう。)若しくは加算金(地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第一条第一項第十四号に規定する過少申告加算金、不申告加算金及び重加算金をいう。)の請求権又はこれらに類する共助対象外国租税の請求権
六 罰金、科料、刑事訴訟費用、追徴金又は過料の請求権(以下「罰金等の請求権」という。)
七 破産手続参加の費用の請求権
八 第五十四条第一項(第五十八条第三項において準用する場合を含む。)に規定する相手方の損害賠償の請求権
九 第五十七条に規定する債権
十 第五十九条第一項の規定による請求権であって、相手方の有するもの
十一 第六十条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)に規定する債権
十二 第百六十八条第二項第二号又は第三号に定める権利(優先的破産債権)
第九十八条 破産財団に属する財産につき一般の先取特権その他一般の優先権がある破産債権(次条第一項に規定する劣後的破産債権及び同条第二項に規定する約定劣後破産債権を除く。以下「優先的破産債権」という。)は、他の破産債権に優先する。
2 前項の場合において、優先的破産債権間の優先順位は、民法、商法その他の法律の定めるところによる。
3 優先権が一定の期間内の債権額につき存在する場合には、その期間は、破産手続開始の時からさかのぼって計算する。(劣後的破産債権等)
第九十九条 次に掲げる債権(以下「劣後的破産債権」という。)は、他の破産債権(次項に規定する約定劣後破産債権を除く。)に後れる。
一 第九十七条第一号から第七号までに掲げる請求権
二 破産手続開始後に期限が到来すべき確定期限付債権で無利息のもののうち、破産手続開始の時から期限に至るまでの期間の年数(その期間に一年に満たない端数があるときは、これを切り捨てるものとする。)に応じた債権に対する破産手続開始の時における法定利率による利息の額に相当する部分
三 破産手続開始後に期限が到来すべき不確定期限付債権で無利息のもののうち、その債権額と破産手続開始の時における評価額との差額に相当する部分
四 金額及び存続期間が確定している定期金債権のうち、各定期金につき第二号の規定に準じて算定される額の合計額(その額を各定期金の合計額から控除した額が破産手続開始の時における法定利率によりその定期金に相当する利息を生ずべき元本額を超えるときは、その超過額を加算した額)に相当する部分
2 破産債権者と破産者との間において、破産手続開始前に、当該債務者について破産手続が開始されたとすれば当該破産手続におけるその配当の順位が劣後的破産債権に後れる旨の合意がされた債権(以下「約定劣後破産債権」という。)は、劣後的破産債権に後れる。(破産債権の行使)
第百条 破産債権は、この法律に特別の定めがある場合を除き、破産手続によらなければ、行使することができない。
2 前項の規定は、次に掲げる行為によって破産債権である租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)を行使する場合については、適用しない。
一 破産手続開始の時に破産財団に属する財産に対して既にされている国税滞納処分
二 徴収の権限を有する者による還付金又は過誤納金の充当(給料の請求権等の弁済の許可)
第百一条 優先的破産債権である給料の請求権又は退職手当の請求権について届出をした破産債権者が、これらの破産債権の弁済を受けなければその生活の維持を図るのに困難を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、最初に第百九十五条第一項に規定する最後配当、第二百四条第一項に規定する簡易配当、第二百八条第一項に規定する同意配当又は第二百九条第一項に規定する中間配当の許可があるまでの間、破産管財人の申立てにより又は職権で、その全部又は一部の弁済をすることを許可することができる。ただし、その弁済により財団債権又は他の先順位若しくは同順位の優先的破産債権を有する者の利益を害するおそれがないときに限る。
2 破産管財人は、前項の破産債権者から同項の申立てをすべきことを求められたときは、直ちにその旨を裁判所に報告しなければならない。この場合において、その申立てをしないこととしたときは、遅滞なく、その事情を裁判所に報告しなければならない。(破産管財人による相殺)
第百二条 破産管財人は、破産財団に属する債権をもって破産債権と相殺することが破産債権者の一般の利益に適合するときは、裁判所の許可を得て、その相殺をすることができる。(破産債権者の手続参加)
第百三条 破産債権者は、その有する破産債権をもって破産手続に参加することができる。
2 前項の場合において、破産債権の額は、次に掲げる債権の区分に従い、それぞれ当該各号に定める額とする。
一 次に掲げる債権 破産手続開始の時における評価額
イ 金銭の支払を目的としない債権
ロ 金銭債権で、その額が不確定であるもの又はその額を外国の通貨をもって定めたもの
ハ 金額又は存続期間が不確定である定期金債権
二 前号に掲げる債権以外の債権 債権額
3 破産債権が期限付債権でその期限が破産手続開始後に到来すべきものであるときは、その破産債権は、破産手続開始の時において弁済期が到来したものとみなす。
4 破産債権が破産手続開始の時において条件付債権又は将来の請求権であるときでも、当該破産債権者は、その破産債権をもって破産手続に参加することができる。
5 第一項の規定にかかわらず、共助対象外国租税の請求権をもって破産手続に参加するには、共助実施決定(租税条約等実施特例法第十一条第一項に規定する共助実施決定をいう。第百三十四条第二項において同じ。)を得なければならない。(異議等のない破産債権の確定)
第百二十四条 第百十七条第一項各号(第四号を除く。)に掲げる事項は、破産債権の調査において、破産管財人が認め、かつ、届出をした破産債権者が一般調査期間内若しくは特別調査期間内又は一般調査期日若しくは特別調査期日において異議を述べなかったときは、確定する。
2 裁判所書記官は、破産債権の調査の結果を破産債権者表に記載しなければならない。
3 第一項の規定により確定した事項についての破産債権者表の記載は、破産債権者の全員に対して確定判決と同一の効力を有する。(破産債権査定決定)
第百二十五条 破産債権の調査において、破産債権の額又は優先的破産債権、劣後的破産債権若しくは約定劣後破産債権であるかどうかの別(以下この条及び第百二十七条第一項において「額等」という。)について破産管財人が認めず、又は届出をした破産債権者が異議を述べた場合には、当該破産債権(以下「異議等のある破産債権」という。)を有する破産債権者は、その額等の確定のために、当該破産管財人及び当該異議を述べた届出をした破産債権者(以下この款において「異議者等」という。)の全員を相手方として、裁判所に、その額等についての査定の申立て(以下「破産債権査定申立て」という。)をすることができる。ただし、第百二十七条第一項並びに第百二十九条第一項及び第二項の場合は、この限りでない。
2 破産債権査定申立ては、異議等のある破産債権に係る一般調査期間若しくは特別調査期間の末日又は一般調査期日若しくは特別調査期日から一月の不変期間内にしなければならない。
3 破産債権査定申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、決定で、異議等のある破産債権の存否及び額等を査定する裁判(次項において「破産債権査定決定」という。)をしなければならない。
4 裁判所は、破産債権査定決定をする場合には、異議者等を審尋しなければならない。
5 破産債権査定申立てについての決定があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。(破産債権査定申立てについての決定に対する異議の訴え)
第百二十六条 破産債権査定申立てについての決定に不服がある者は、その送達を受けた日から一月の不変期間内に、異議の訴え(以下「破産債権査定異議の訴え」という。)を提起することができる。
2 破産債権査定異議の訴えは、破産裁判所が管轄する。
3 破産債権査定異議の訴えが提起された第一審裁判所は、破産裁判所が破産事件を管轄することの根拠となる法令上の規定が第五条第八項又は第九項の規定のみである場合(破産裁判所が第七条第四号の規定により破産事件の移送を受けた場合において、移送を受けたことの根拠となる規定が同号ロ又はハの規定のみであるときを含む。)において、著しい損害又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、前項の規定にかかわらず、職権で、当該破産債権査定異議の訴えに係る訴訟を第五条第一項に規定する地方裁判所(同項に規定する地方裁判所がない場合にあっては、同条第二項に規定する地方裁判所)に移送することができる。
4 破産債権査定異議の訴えは、これを提起する者が、異議等のある破産債権を有する破産債権者であるときは異議者等の全員を、当該異議者等であるときは当該破産債権者を、それぞれ被告としなければならない。
5 破産債権査定異議の訴えの口頭弁論は、第一項の期間を経過した後でなければ開始することができない。
6 同一の破産債権に関し破産債権査定異議の訴えが数個同時に係属するときは、弁論及び裁判は、併合してしなければならない。この場合においては、民事訴訟法第四十条第一項から第三項までの規定を準用する。
7 破産債権査定異議の訴えについての判決においては、訴えを不適法として却下する場合を除き、破産債権査定申立てについての決定を認可し、又は変更する。(異議等のある破産債権に関する訴訟の受継)
第百二十七条 異議等のある破産債権に関し破産手続開始当時訴訟が係属する場合において、破産債権者がその額等の確定を求めようとするときは、異議者等の全員を当該訴訟の相手方として、訴訟手続の受継の申立てをしなければならない。
2 第百二十五条第二項の規定は、前項の申立てについて準用する。(主張の制限)
第百二十八条 破産債権査定申立てに係る査定の手続又は破産債権査定異議の訴えの提起若しくは前条第一項の規定による受継に係る訴訟手続においては、破産債権者は、異議等のある破産債権についての第百十一条第一項第一号から第三号までに掲げる事項について、破産債権者表に記載されている事項のみを主張することができる。(執行力ある債務名義のある債権等に対する異議の主張)
第百二十九条 異議等のある破産債権のうち執行力ある債務名義又は終局判決のあるものについては、異議者等は、破産者がすることのできる訴訟手続によってのみ、異議を主張することができる。
2 前項に規定する異議等のある破産債権に関し破産手続開始当時訴訟が係属する場合において、同項の異議者等が同項の規定による異議を主張しようとするときは、当該異議者等は、当該破産債権を有する破産債権者を相手方とする訴訟手続を受け継がなければならない。
3 第百二十五条第二項の規定は第一項の規定による異議の主張又は前項の規定による受継について、第百二十六条第五項及び第六項並びに前条の規定は前二項の場合について準用する。この場合においては、第百二十六条第五項中「第一項の期間」とあるのは、「異議等のある破産債権に係る一般調査期間若しくは特別調査期間の末日又は一般調査期日若しくは特別調査期日から一月の不変期間」と読み替えるものとする。
4 前項において準用する第百二十五条第二項に規定する期間内に第一項の規定による異議の主張又は第二項の規定による受継がされなかった場合には、異議者等が破産債権者であるときは第百十八条第一項、第百十九条第五項又は第百二十一条第二項(同条第七項又は第百二十二条第二項において準用する場合を含む。)の異議はなかったものとみなし、異議者等が破産管財人であるときは破産管財人においてその破産債権を認めたものとみなす。(破産債権の確定に関する訴訟の結果の記載)
第百三十条 裁判所書記官は、破産管財人又は破産債権者の申立てにより、破産債権の確定に関する訴訟の結果(破産債権査定申立てについての決定に対する破産債権査定異議の訴えが、第百二十六条第一項に規定する期間内に提起されなかったとき、又は却下されたときは、当該決定の内容)を破産債権者表に記載しなければならない。(破産債権の確定に関する訴訟の判決等の効力)
第百三十一条 破産債権の確定に関する訴訟についてした判決は、破産債権者の全員に対して、その効力を有する。
2 破産債権査定申立てについての決定に対する破産債権査定異議の訴えが、第百二十六条第一項に規定する期間内に提起されなかったとき、又は却下されたときは、当該決定は、破産債権者の全員に対して、確定判決と同一の効力を有する。(訴訟費用の償還)
第百三十二条 破産財団が破産債権の確定に関する訴訟(破産債権査定申立てについての決定を含む。)によって利益を受けたときは、異議を主張した破産債権者は、その利益の限度において財団債権者として訴訟費用の償還を請求することができる。(破産手続終了の場合における破産債権の確定手続の取扱い)
第百三十三条 破産手続が終了した際現に係属する破産債権査定申立ての手続は、破産手続開始の決定の取消し又は破産手続廃止の決定の確定により破産手続が終了したときは終了するものとし、破産手続終結の決定により破産手続が終了したときは引き続き係属するものとする。
2 破産手続終結の決定により破産手続が終了した場合において、破産手続終了後に破産債権査定申立てについての決定があったときは、第百二十六条第一項の規定により破産債権査定異議の訴えを提起することができる。
3 破産手続が終了した際現に係属する破産債権査定異議の訴えに係る訴訟手続又は第百二十七条第一項若しくは第百二十九条第二項の規定による受継があった訴訟手続であって、破産管財人が当事者であるものは、破産手続終結の決定により破産手続が終了したときは、第四十四条第四項の規定にかかわらず、中断しないものとする。
4 破産手続が終了した際現に係属する破産債権査定異議の訴えに係る訴訟手続であって、破産管財人が当事者でないものは、破産手続開始の決定の取消し又は破産手続廃止の決定の確定により破産手続が終了したときは終了するものとし、破産手続終結の決定により破産手続が終了したときは引き続き係属するものとする。
5 破産手続が終了した際現に係属する第百二十七条第一項又は第百二十九条第二項の規定による受継があった訴訟手続であって、破産管財人が当事者でないものは、破産手続開始の決定の取消し又は破産手続廃止の決定の確定により破産手続が終了したときは中断するものとし、破産手続終結の決定により破産手続が終了したときは引き続き係属するものとする。
6 前項の規定により訴訟手続が中断する場合においては、第四十四条第五項の規定を準用する。(配当の順位等)
破産法
第百九十四条 配当の順位は、破産債権間においては次に掲げる順位に、第一号の優先的破産債権間においては第九十八条第二項に規定する優先順位による。
一 優先的破産債権
二 前号、次号及び第四号に掲げるもの以外の破産債権
三 劣後的破産債権
四 約定劣後破産債権
2 同一順位において配当をすべき破産債権については、それぞれその債権の額の割合に応じて、配当をする。
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