債権調査の方法はどのようなものですか?

破産手続開始の決定時に定められる債権調査の方法には、どのようなものがあるか。

債権調査の概要

裁判所は破産手続開始の決定と同時に、破産債権の届出期間を定めなければならず(破産法31条1項1号)、債権者はその期間内に裁判所に対して債権届出書を提出する。債権届出書には債権額や発生原因等の記載を要する。
債権者から届け出られた債権に対して、破産管財人が、その内容を調査し、債権調査期間又は債権調査期日に債権の存否・その金額などについて認否をする。破産管財人又は他の債権者に異議等がなければ当該債権は確定するが(破124条)、異議等が出された債権については、別途債権査定手続等により債権額を確定することになる(破125条~)。

債権届出期間と債権調査期間又は債権調査期日の指定の要否

裁判所は、破産財団が手続費用にも満たず、配当に至らず異時廃止となる可能性がある事案では、破産手続開始時点で債権届出期間と債権調査期間又は債権調査期日を定めないことができる(破31条2項)。ただし、破産手続中に配当すべき破産財団が形成された場合は、裁判所は、改めて債権届出期間と債権調査期間又は債権調査期日を定めて、債権調査を実施する必要がある(同条3項)。

債権調査の方法

書面による破産債権の調査(「債権調査期間」型)

裁判所は、原則として、破産手続開始の決定と同時に、債権届出期間と債権調査期間を定めなければならない(破116条1項、31条1項3号)。
債権調査期間とは、破産管財人が届出債権に対して認否を行い、また破産債権者等の利害関係人が異議権の行使をすることができる期間をいう。債権調査期間が定められた場合、破産管財人は、債権届出期間内に届出のあった破産債権について、その金額、優先・劣後の有無、別除権の予定不足金額について認否を記載した認否書を作成し、債権調査期間が始まる前の裁判所の定める期限までに、裁判所に提出しなければならない(破117条1項3項)。

期日における破産債権の調査(「債権調査期日」型)

裁判所は、債権調査期間に代えて債権調査期日を定めることもできる(破116条2項、31条1項3号かっこ書)。
債権調査期日とは、破産管財人や破産債権者等の利害関係人が期日に出頭し、破産管財人の認否、届出債権者の異議権の行使が行われる期日である。

条文

(破産手続開始の決定と同時に定めるべき事項等)
第三十一条 裁判所は、破産手続開始の決定と同時に、一人又は数人の破産管財人を選任し、かつ、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 破産債権の届出をすべき期間
二 破産者の財産状況を報告するために招集する債権者集会(第四項、第百三十六条第二項及び第三項並びに第百五十八条において「財産状況報告集会」という。)の期日
三 破産債権の調査をするための期間(第百十六条第二項の場合にあっては、破産債権の調査をするための期日)
2 前項第一号及び第三号の規定にかかわらず、裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足するおそれがあると認めるときは、同項第一号の期間並びに同項第三号の期間及び期日を定めないことができる。
3 前項の場合において、裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足するおそれがなくなったと認めるときは、速やかに、第一項第一号の期間及び同項第三号の期間又は期日を定めなければならない。
4 第一項第二号の規定にかかわらず、裁判所は、知れている破産債権者の数その他の事情を考慮して財産状況報告集会を招集することを相当でないと認めるときは、同号の期日を定めないことができる。
5 第一項の場合において、知れている破産債権者の数が千人以上であり、かつ、相当と認めるときは、裁判所は、次条第四項本文及び第五項本文において準用する同条第三項第一号、第三十三条第三項本文並びに第百三十九条第三項本文の規定による破産債権者(同項本文の場合にあっては、同項本文に規定する議決権者。次条第二項において同じ。)に対する通知をせず、かつ、第百十一条、第百十二条又は第百十四条の規定により破産債権の届出をした破産債権者(以下「届出をした破産債権者」という。)を債権者集会の期日に呼び出さない旨の決定をすることができる。

(破産債権の調査の方法)
第百十六条 裁判所による破産債権の調査は、次款の規定により、破産管財人が作成した認否書並びに破産債権者及び破産者の書面による異議に基づいてする。
2 前項の規定にかかわらず、裁判所は、必要があると認めるときは、第三款の規定により、破産債権の調査を、そのための期日における破産管財人の認否並びに破産債権者及び破産者の異議に基づいてすることができる。
3 裁判所は、第百二十一条の規定による一般調査期日における破産債権の調査の後であっても、第百十九条の規定による特別調査期間における書面による破産債権の調査をすることができ、必要があると認めるときは、第百十八条の規定による一般調査期間における書面による破産債権の調査の後であっても、第百二十二条の規定による特別調査期日における破産債権の調査をすることができる。

(認否書の作成及び提出)
第百十七条 破産管財人は、一般調査期間が定められたときは、債権届出期間内に届出があった破産債権について、次に掲げる事項についての認否を記載した認否書を作成しなければならない。
一 破産債権の額
二 優先的破産債権であること。
三 劣後的破産債権又は約定劣後破産債権であること。
四 別除権(第百八条第二項に規定する特別の先取特権、質権若しくは抵当権又は破産債権を含む。)の行使によって弁済を受けることができないと見込まれる債権の額
2 破産管財人は、債権届出期間の経過後に届出があり、又は届出事項の変更(他の破産債権者の利益を害すべき事項の変更に限る。以下この節において同じ。)があった破産債権についても、前項各号に掲げる事項(当該届出事項の変更があった場合にあっては、変更後の同項各号に掲げる事項。以下この節において同じ。)についての認否を同項の認否書に記載することができる。
3 破産管財人は、一般調査期間前の裁判所の定める期限までに、前二項の規定により作成した認否書を裁判所に提出しなければならない。
4 第一項の規定により同項の認否書に認否を記載すべき事項であって前項の規定により提出された認否書に認否の記載がないものがあるときは、破産管財人において当該事項を認めたものとみなす。
5 第二項の規定により第一項各号に掲げる事項についての認否を認否書に記載することができる破産債権について、第三項の規定により提出された認否書に当該事項の一部についての認否の記載があるときは、破産管財人において当該事項のうち当該認否書に認否の記載のないものを認めたものとみなす。
(一般調査期間における調査)
第百十八条 届出をした破産債権者は、一般調査期間内に、裁判所に対し、前条第一項又は第二項に規定する破産債権についての同条第一項各号に掲げる事項について、書面で、異議を述べることができる。
2 破産者は、一般調査期間内に、裁判所に対し、前項の破産債権の額について、書面で、異議を述べることができる。
3 裁判所は、一般調査期間を変更する決定をしたときは、その裁判書を破産管財人、破産者及び届出をした破産債権者(債権届出期間の経過前にあっては、知れている破産債権者)に送達しなければならない。
4 前項の規定による送達は、書類を通常の取扱いによる郵便に付し、又は民間事業者による信書の送達に関する法律第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者の提供する同条第二項に規定する信書便の役務を利用して送付する方法によりすることができる。
5 前項の規定による送達をした場合においては、その郵便物等が通常到達すべきであった時に、送達があったものとみなす。

(特別調査期間における調査)
第百十九条 裁判所は、債権届出期間の経過後、一般調査期間の満了前又は一般調査期日の終了前にその届出があり、又は届出事項の変更があった破産債権について、その調査をするための期間(以下「特別調査期間」という。)を定めなければならない。ただし、当該破産債権について、破産管財人が第百十七条第三項の規定により提出された認否書に同条第一項各号に掲げる事項の全部若しくは一部についての認否を記載している場合又は一般調査期日において調査をすることについて破産管財人及び破産債権者の異議がない場合は、この限りでない。
2 一般調査期間の経過後又は一般調査期日の終了後に第百十二条第一項若しくは第三項の規定による届出があり、又は同条第四項において準用する同条第一項の規定による届出事項の変更があった破産債権についても、前項本文と同様とする。
3 第一項本文又は前項の場合には、特別調査期間に関する費用は、当該破産債権を有する者の負担とする。
4 破産管財人は、特別調査期間に係る破産債権については、第百十七条第一項各号に掲げる事項についての認否を記載した認否書を作成し、特別調査期間前の裁判所の定める期限までに、これを裁判所に提出しなければならない。この場合においては、同条第四項の規定を準用する。
5 届出をした破産債権者は前項の破産債権についての第百十七条第一項各号に掲げる事項について、破産者は当該破産債権の額について、特別調査期間内に、裁判所に対し、書面で、異議を述べることができる。
6 前条第三項から第五項までの規定は、特別調査期間を定める決定又はこれを変更する決定があった場合における裁判書の送達について準用する。

(異議等のない破産債権の確定)
第百二十四条 第百十七条第一項各号(第四号を除く。)に掲げる事項は、破産債権の調査において、破産管財人が認め、かつ、届出をした破産債権者が一般調査期間内若しくは特別調査期間内又は一般調査期日若しくは特別調査期日において異議を述べなかったときは、確定する。
2 裁判所書記官は、破産債権の調査の結果を破産債権者表に記載しなければならない。
3 第一項の規定により確定した事項についての破産債権者表の記載は、破産債権者の全員に対して確定判決と同一の効力を有する。

(破産債権査定決定)
第百二十五条 破産債権の調査において、破産債権の額又は優先的破産債権、劣後的破産債権若しくは約定劣後破産債権であるかどうかの別(以下この条及び第百二十七条第一項において「額等」という。)について破産管財人が認めず、又は届出をした破産債権者が異議を述べた場合には、当該破産債権(以下「異議等のある破産債権」という。)を有する破産債権者は、その額等の確定のために、当該破産管財人及び当該異議を述べた届出をした破産債権者(以下この款において「異議者等」という。)の全員を相手方として、裁判所に、その額等についての査定の申立て(以下「破産債権査定申立て」という。)をすることができる。ただし、第百二十七条第一項並びに第百二十九条第一項及び第二項の場合は、この限りでない。
2 破産債権査定申立ては、異議等のある破産債権に係る一般調査期間若しくは特別調査期間の末日又は一般調査期日若しくは特別調査期日から一月の不変期間内にしなければならない。
3 破産債権査定申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、決定で、異議等のある破産債権の存否及び額等を査定する裁判(次項において「破産債権査定決定」という。)をしなければならない。
4 裁判所は、破産債権査定決定をする場合には、異議者等を審尋しなければならない。
5 破産債権査定申立てについての決定があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。

破産法
会社破産に強い弁護士のサポートで再出発を!
ご安心ください!弁護士のサポートで再出発を!

お問い合わせの前に必ず『法律相談の流れ』をご確認ください

破産に関するご相談は24時間受付

お問い合わせの前に必ず『法律相談の流れ』をご確認ください

会社破産の解決事例 適切な分割払いが可能 ある会社の自己破産ストーリー お客様の声 会社破産のよくある質問66 タキオン法律事務所の採用情報
会社破産の無料法律相談 0120-8383-97 メールで連絡する